今回は8名参加でした。
第1部の読み物は『安心して絶望できる人生』より、「“人格障害”の研究その二 見捨てられ不安の研究」でした。
人間関係でトラブルの絶えない「嫌われ松子」系の人の実例でしたが、トラブルを引き起こすことによってそのトラブルに対処する間は自分の問題を直視しないでいられる、すなわちトラブルによって自分を助けている、というのが大変印象的でした。
話の中で登場した「魔性の女」的な振る舞いについては、「わかる」「まったくわからん」など、色々な感想がありましたが、研究の仕方については他の困りごとについても応用できるかも、というところで落ち着きました。
今回の当事者研究ひとつめ
「会話するとき相手を見ていない、の研究(その2)」のボードです。
"キラワレさん"(=嫌われているかも、という自動思考)にまつわるパターンの概略をまとめてみます。
会話しているとき、相手を見ていない。
それは"キラワレさん"が、10回に9回くらい出てくるから。
"キラワレさん"が出てきたあとは自ら「嫌われている証拠探し」をし、「あのときの表情がいけなかった」「あの返し方がまずかった」というそれらしき理由(だいぶ捏造)を見つけると、低い自己評価に落ち着く。
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そのほか気づいたこと
・そもそもキラワレさんが出て来ないときもあるし、”嫌われていない"ことが確かめられる出来事があれば、キラワレさんは前提条件がないので霧散する。
・キラワレさんが出てくるのは会話する相手の出方というよりは、自分の状態が弱っているときのようだ。
・逆の根拠を考えてみては?(嫌われる理由とそうでない理由の対決が激化するかも?)
・認知行動療法のようなことが可能かも?(ひとりでするのは訓練が必要)
・キラワレさんは、自分を守るために出てきてくれたのでは?その守り方を変える方向にならないか?
・キラワレさんは、かまってほしいのでは?(ないことにすると余計出てくる)
・捏造気味の証拠探しを一人で判定しない?
面白かったのは、
・キワラレさん、けっこう精度悪いよね!ちょいちょい顔出したがるけどはっきり言って大半間違ってるよね。
というキラワレさんに対する、なんだかあったかい感想でした。
これが「自虐」「痛々しいネタ」にならない、あるいは「いじり」にならないのは、みんなが"キラワレさん"の存在を認めてあげている場だからだと思います。この前提が共有されていないのに、笑いをとろうとすると「いじり・いじられ」や、相手は受容しているつもりはなのに「辛い気持ちを募らせる」ようなことがおこると思います。弱さの情報公開を会の始めにやるのは、この前提の共有であると思います。
続いて、ふたつめ、「気を遣う人間関係を続けていると疲れてきて、嫌なことを言って人から離れる、の研究」
これは多数派と興味関心がズレる・多数派の人と前提が違う場合にけっこう共通のようでした。
(今回は発達障害的視点でしたが、疾病をもつ方・LGBTなど他のマイノリティの方でも同じコミュニケーションの問題が発生すると思います。)
参加者から出た対処法としては、
・興味ないことや異なる意見に付き合う場面でも、その話題より「あなたとコミュニケーションがしたい」という意図にフォーカスする。
・「あなたの気持ちは分かる(かも)」「あなたはそう思ってるんですね」というような、同意でも反論でもない表現を使う。
・「…さんと話が合わなくってさあ」「あの集団となかなかとけ込めなくって」という困りごとそのものを話題にする。
・頑張って気を遣わないといけない、という始めの状態を少し崩して、素の自分の反応を実験的に小出しにしていけば。「Aさんにはここまでは大丈夫」「Bさんは全然ダメ」というような判断ができて、自分のダメージは防げるのでは。
という意見が出ました。勉強になるなあ。
みっつめは「自分の声とかしゃべりが気に入らない(ことに気づいた)の研究。」
・セルフイメージとのギャップにショック受けているところでは?
・自分が70点とって良かったーと思ってたら平均点は90点だった、というような衝撃?
・声については慣れることができるかも。
(見た目は鏡などで慣れることができているが、声は客観的に聞く機会そのものが少ない)
・実際今、どんな風に思われるか聞いてみては?
…そんなに問題なさそうじゃないか、と確かめられた。
・まわりくどさ、に関してはそれ自体が研究対象になるかも。
というような話が出ました。これは続きも気になりますね。
次回は場所が変わります。
がんばれ!子供村で開催します。11月23日(祝)13:00〜17:00です。
当事者研究ってなんだそりゃ?という方も、単に愚痴りたいのかも?という方も、自分は特に困ってないけど身内や友人・患者・利用者・生徒が困ってる、という方も、参加してみてくださいね。
メールでtokyotojisha@gmail.comまで。
またはこちらでRSVPボタンを押していただくと参加表明になります!
レッツ当事者研究!
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